「―――で、あるからして……」



校長の長ったらしい話を欠伸を噛み殺しながら聞く。

現在、午前9時22分。
学校に来て早々に全校生徒を体育館に集めての臨時集会。
先生たちもご苦労なことよね。
なんでも、休み中に不審者が出たから注意を呼び掛けているらしい。
……とはいっても、途中から話がズレて関係のない話にどんどん発展してるけどね。


それにしても最近多いのよね、こういうの。
パンツ一丁の男が出没しただとか、銃を持った赤ちゃんが喫茶店で珈琲を飲みまくるだとか。
あとはダイナマイトを持った少年が街を徘徊してるとか、 アフロヘアーの男の子が大人に変身したかと思うと大声量で泣き出すとか。
……最後のはちょっと違う気がするけど、とにかく変な噂が絶えないのよねー、ほんと。


(まあ、どうでもいいことか。どうせ私には関係ないんだろうし。酷けりゃ雲雀が解決するでしょ)


そんなことを考えつつも、また欠伸を噛み殺す。
それにしても話が長い。

校長、久々に生徒の前で偉そうにできるから嬉しいのかしら?。
普段雲雀がさんざん脅すから……。
これでは、この後の休み時間に響いちゃうじゃない。
先生たちってば、授業は延長するくせに休み時間は延長してくれないのよね。



「ねぇ」



そんなはた迷惑な校長の話の途中なのに、それを遮った生徒がいた。



―――雲雀だ。



てゆーか集会に出てたんだ……。
自由奔放、悪く言えば自分勝手な雲雀は絶対に出てないと思ってたのに。



「は、はい!」
「さっさと終わらせてくれない?」



でた。
雲雀の俺様発言。
あ、でも雲雀の一人称は僕だから僕様発言になるのかな?



「いや、でも……」
「休み時間にまで食い込むと、を咬み殺せる時間が減るんだけど」



なんだそりゃ!
そんな理由で校長の話を遮ったのかよ!
いや、別に校長の話を聞きたかったわけじゃないんだけどね?
退屈だったのは確かだし。



「そっそんな理由で……!」
「さっさとしないと咬み殺すよ?」
「え、あ、こっこれで話を終わります!」



全校生徒の前で人の名前を出すなよ!
校長もそれに従うなよ!

全校生徒の前でなきゃ、大声で叫びたい気分だわ。
ま、並盛を征服しているのは雲雀だからしょうがないのかもしれないけどさ……。
商店街を征服しているのは私だけどね!


まあともかく、校長の話が早く終わってくれたことに関しては私にとっても嬉しい。
それにしたって40歳近くも年下の、しかも自分の学校の生徒に怯えなくちゃいけない教師って一体……。
ちょっとばかり校長が不憫だ…。













朝礼が長いと……。
(雲雀に咬み殺されるかも?)