「それじゃここ、テストに出すからしっかり復習しておけよー」
先生のその声を合図にカチャカチャとみんながシャーペンやら教科書やらを片付け始める。
………そろそろだ。
「学級長、号令かけてー」
「きりーつ、礼」
キーンコーンカーンコーン。
学級長の号令とともにチャイムが鳴る。
コキコキと骨を鳴らしながら準備体操。
まあ、次の授業までの時間は10分だからそこまで念入りにやっておく必要はないだろう。
さて……
3,2,1,ガラッ
さぁ、風紀委員長様のご登場だ。
クラスのみんなはすでに慣れたのか、雲雀を見たぐらいで怯えたりしない。
担任もだが、最初と比べると神経が図太くなったものだ。
最初の頃は、雲雀が来るたびにみんなびくびくしていたが、今では雲雀が教室内に居ようが平気でお喋りしたりしている。
……まあそれも、雲雀が私を咬み殺すのに夢中になっている間だけだが。
もちろん、それ以外のときに雲雀の前で友達同士お喋りしようものならば、
「群れるな」
の一言でトンファーに滅多打ちにされることになるだろう。
「……今度こそ、咬み殺す」
「毎回それ言ってるけど、一回も咬み殺せてないわよねー。掠りもしてないし?いつになったら実行できるのかしら」
その見事に挑発しまくったセリフに雲雀は黙ってトンファーを取り出す。
毎回思うけど一体どこから取り出してるのかしら、アレ。
不思議よねー。
あいつって学ランじゃない?ベルトのところにでも引っ掛けてるのかしら?
そんなくだらないことを考えていると、この場で一番神経の図太いであろう担任がのんきな声で言う。
「次の授業には間に合うようにしろよー」
その声を合図に雲雀が襲い掛かってきた。
毎回毎回物好きよねー、こいつも。
ひょいっと軽く避けて、走りながら思う。
まぁ、結構楽しいからいいんだけどね。
10分程度の休み時間だから、お互いにそこまで本気は出さない。
それでも、雲雀との戦い(っていってもいいのかな、コレ)はなかはかいいストレッチ代わりになる。
うん、今日も絶好調!
始まりの音は先生の声
(次の授業に間に合えばいいけど……)