「たかだか銃だろ!んなもんダイナマイト比べれば劣るぜ?」
「……言ったわね?いいわ、銃がどんなに素晴らしいか教えてあげる」
いつのまにか、オレのいない間にそんな会話があったらしい。
「らしい」っていうのは、その時オレはそこにいなかったからなんだけど。
でもまあ、その頃のオレも教師に呼び出されて本気で進路を心配されたり、
いかに勉強が重要なのかを熱く(それはもう京子ちゃんのお兄さんくらい熱く)説教なんか
してくれたのである意味獄寺くんと同じ状況下にあったといえる。
いまどき金○先生のごとく熱く人生とは何たるかを語ってくれる先生がいたとは……。
天然記念動物並みに珍しい。
リアル○八先生だ。性別は女だったけど。
そしてオレが帰ってくるまでの3時間、
講師による獄寺くん限定マンツーマンの特別銃講義は延々と続いていたらしい。
ということはオレも3時間進路指導室で教師からくどくどくどくどと、
話を聞かされたわけだけどこの際それはどっか遠くにでも置いといて。
リボーンにバレたらまた何されるかわかったもんじゃないし。恐怖。
よくよく考えてみたら獄寺くん、よく3時間もの時間おとなしく講義を聴いていたな……。
好きなもの――そう例えば"世界の謎と不思議"みたいな興味のある分野とかならともかく、
自分が馬鹿にした武器の話だもんな。
おとなしくしているわけがないと思うんだけど…。
それよりも、リボーンがこの話を聞いたら怒りそうだよね。
なんせ自分が愛用している武器が馬鹿にされたんだから。
銃なんてポピュラーな、それこそ幼稚園児でも知っていそうなくらい有名で
マフィアとしては王道すぎるほど王道な武器を使っているのは何もさんだけじゃないのにさ。
獄寺くん、絶対に忘れてるよ。
てゆーか、マのつく自由業の人は基本的にみんな持ってるんじゃない?コレ。
いくら相手が獄寺くんでもリボーンは容赦なくぶちのめしそうだ。(や、誰に対しても容赦ないんだけどさ)
まあオレには武器らしい武器(グローブって武器のうちに入るのかな?)はないし、
さんや獄寺くんみたいな「自分の武器が一番!」という気持ちはわからないけど。
(オレとしては武器を持つ人の気持ちないか一生わかりたくないけどね!)
そしてオレが教室に帰って来たことに気がついた獄寺くんは、思いつめた表情でトンデモ発言をかましてくれた。
それはもう、ランボが10年バズーカを使って10年後と入れ替わったとき以上に驚いた。
ありえないよ、ほんと。
明日は槍でも降ってくるんじゃないだろうか……。
「十代目……あのオレ、ボムから銃に換えようかと悩んでいるんです…。
十代目もやっぱり銃のほうがボムより役に立つと思いますか……?」
「ええぇぇえ!?」
驚いた。
オーバーリアクションしすぎて机の角に腰をぶつけるくらい盛大に驚いた。
い、痛い。
少なからずとも、自分が誇りを持って使用しているであろうダイナマイトを使わない、使うのをやめるという。
流石にこれには驚いた。
だってあの獄寺くんだよ!?
どんな相手でも関係なく(オレの血縁者とかじゃない限り)喧嘩上等みたいな感じで
ところ構わずダイナマイトを放ちまくる、ある意味迷惑である意味頼りになる"あの"獄寺くんが
しょんぼりとすっかり自信をなくした様子で立っている。
いったいどんなさんはどんな講義をしたんだろう……?
ビアンキのポイズンクッキングのようにトラウマでも植え付けたのかな。
短時間で獄寺くんにこんなことを言わせるだなんて……。
語りだすと止まらない、止められない。
(銃を馬鹿にするだなんて、許さないわ!)