僕はのことが大好きだ。

はすごくいい奴。
じゅんこと同じくらいに愛してる。


とは1年の夏の終わりに、長屋で一緒の部屋になった。
それまで一緒だった奴は、じゅんこやさよこ、きみこ達と一緒にいる僕のことを、

「気持ち悪い」

「異常な奴」

「理解できない」

と言って、僕から離れた。

最初からそいつに興味なんてなかったし、
仲良くする気なんてなかったからちっとも構わなかったけれど、じゅんこ達を馬鹿にされたのだけは許せなかった。
僕の家族を侮辱するなんて、最低な奴だ。

結局、そいつはすぐに学園をやめたけれど。


その後に同じ部屋に入って来たのがだった。
と同室の奴も出て行ったのだと言っていた。

と初めて会ったときにも、前回と同様にじゅんこ達を紹介した。
だって家族を紹介するのは当たり前のことだから。
これから先、仲良くするしないに関係なくそれは礼儀だから。
そこらへんはしっかりしておかないといけないものだ。

でもまぁ、どうせまた前の奴と同じことを言うのだろうと思っていた。

そうしたら―――、「かわいい子たちだね」って言って、褒めてくれたんだ!
そんなことを言ったのはが初めて。

「気持ち悪い」って言ってきた他の人間たちとは大違い!

だってはじゅんこ達を、僕の家族を受け入れてくれた。

僕はをちょっと好きになった。
人間にしてはいい奴だって。
じゅんこ達もに懐いた。



* * *



人間から言わせると、僕は異常者で気違い野郎らしい。
毒を持つ生き物と共に暮らすなど、普通の神経の奴ならばできない。

気持ちが悪い、と。

誰にも彼にも、ほんの一握りの奇特な奴らを除いて皆に言われた。
同級生や先輩達だけでなく、一部の教師ですらも。

そんな環境だったものだから、まだ幼かった僕はその言葉を真に受けた。
そしてだんだんと、本当に自分は異常者なのでは……と思い始めていた時期もあった。
人間なんてどうでもいいと思っていても、やっぱり言われればその言葉は胸をえぐった。
じゅんこ達を否定する気はないけれど、やっぱり悲しかったのも事実だった。

そんなときに僕を救ってくれたのがだった。

はこんな僕を好きだと言ってくれた。
異常者なんかじゃない、孫兵がすごいからみんな嫉妬しているだけだと言って、抱きしめてくれた。



「ねえ孫兵、俺は孫兵のことが大好き。愛してるよ」
「毒蛇と暮らしてるからってなに?俺はじゅんこ達のことが好きだよ。孫兵の家族だもの」
「ねぇ、孫兵。たとえ学園の人間達すべてを敵にまわすことになったとしても、俺は孫兵の味方でいるよ」
「孫兵のことが大好きだから、孫兵を守りたいんだ。もちろん、じゅんこ達も」



そんなことを言ってくれるを、気がついたら、気になってた。
の姿を知らず知らずのうちに目で追いかけて、その姿を探していた。

ああ、僕はが好きなのだと自覚した。

思い切って、僕はのことが好きだって言ったら、俺も好きだよって言ってくれた。

すごく嬉しい。
相思相愛だ!


この学園の中で、もじゅんこもいて、僕は幸せだ。
ずっとずっとこのまま、幸せが続くことを祈ってる。













発展途上恋愛