1年生、忍術学園に入学。
うっわ、周りすげーガキンチョばっかじゃんとか思ったけど俺も今はガキだったと思い出す。
自分よりも年下のはずの少年たちに敬語を使うのはなんか変な気分だ。
あ、勉強は意外と簡単だった。


2年生、初めての後輩。
同じ委員会に入ってきた後輩の髪の毛が疾風迅雷号(委員会で飼ってる馬)の尻尾のようでビビった。
お前それはボサボサすぎるだろうが。
世話を任されたけど、正直どうすればいいかわかんねぇ。


3年生、友達ができた。
そういえば俺、今まで気が付かなかったけど全然友達いなかったんだよ。
それが一気に6人もできた。結構嬉しいもんだよな、こういう仲間ができるって。
どいつもこいつも超個性的な奴らだけど。


4年生、蛇に噛まれた。
今年入ってきた1年のペットに一噛みされたけど、毒がないって知ってたから放置。
そしたらなぜか1年と3年に尊敬された。
「きみこに噛まれても平然としているなんて……先輩凄い!」だって。


5年生、実習で人殺し。
自分で思っていたほど難しくなかった。
苦無で刺す、それで終わり。
あまりにも呆気なく死んで逝くものだから、人生ってなんなんだろうと思った。ちょっと鬱。
人殺しはやっぱ地獄逝きだよなあ。


そうして現在、6年生。
学園の最上級生となった俺は、生物委員長なんてもんをやっている。
友人たちは健在だし、後輩も今年は1年がたくさん入った。
おばちゃんのご飯は美味しいし、幸せだ。
前は青春を謳歌してる真っ最中に殺されたから今度は精一杯楽しもうと思う。
卒業まであと1年、頑張るぞー。





って思ったのがほんの1週間前。
だけど、そんな決意もあっという間に崩れ去った。



「あたし、あの、藤本由香里といいます!よろしくお願いします!」



なぜこいつがここにいる?意味がわからない。
神様のことを嘘吐き呼ばわりしたのがいけなかったんですか。そうですか。

俺はまた、この女に殺されるんだろうか。
周りを見渡せば、友人達はまさに目がハート状態。デジャヴ。
藤本由香里の逆ハー体質はここでも有効らしい。
そんなの聞いてねぇぞおい。

てか仙蔵、長次!お前らはそんなキャラじゃないだろう、もっと冷静になれ!
忍の三禁はどうした!


―――けど、今のこいつらに言ったところで聞こえるかどうか。
怪しいよな、うん。
とりあえず、藤本由香里がいなくなってから言おう。
そうすりゃ伝わるだろうし。頼むからお前ら、藤本由香里に心酔したりすることだけはやめてくれよ。マジで。



昼休み、食堂に来た。すげぇ混んでるんだけどなんでだ?



「B定食お待たせしましたぁ!」



こいつのせいか!
あー、そういえばおばちゃんの手伝いするって言ってたっけ?
正直話なんて真面目に聞いてなかったからわかんねぇや。

藤本由香里に群がる忍たま達。
その中に、よく見かける顔があった。ブルータス、お前もか!
お前が好きなのは動物だけだと思ってたのに残念だよ、竹左ヱ門。

くそう、俺どうしよう。
いっそのこと藤本由香里を殺そうかな。
でもなー、んなことやって地獄逝きも嫌だし。
え?もう実習で人殺してんだから今更だって?そんなことはないよ。
ほら、あれは私利私欲のためじゃないし。
ノーカウントってことで。



「次の人、ご注文は?」
「あ、A定食で」
「はーい!」



やっべ、普通に返事しちまった。
けど気付いてねぇし、こいつ。
俺一応容姿は変わってねぇんだけど、全然わかんねぇみたいだ。
まぁ、特に濃い付き合いがあったわけでもないし、当然っちゃ当然か。

にしてもやっぱりどこにいたって変わんねぇな、藤本由香里。
あームカついてきた。
俺のこと(間接的にだけど)殺したくせに、今も幸せそうに笑ってんだもんなー。

うん、早くあいつらの眼を醒まさせてやんねぇとな。













二周目のロシアン・ルーレット