!?」
「お前は……なにをやっているんだ!」



あーやっべ、見つかった。
しかも、よりにもよって仙蔵と文次郎だぜ?
何で二人揃っているんだよ。
タイミング悪いにも程があるっての。

しかも殺した後ならともかく、止め刺す直前だし。
ちくしょー、これじゃあ目標達成できないじゃないか。



「お前が、こんなことをするとは……見損なったぞ、!」
「………何が、理由なんだ」
「あえて言うなら、私怨?」



だよな?
うん、バリバリ私怨だ。

きっと藤本由香里を恨んでる人間なんて俺くらいなもんじゃないのか?たぶん。
一応、藤本由香里の人格に問題はないわけだし。

あ、いやあるな。

あの鈍感さは罪だ。
藤本由香里に無知は罪だと教えてやりてぇ。
もっと周りに気ぃ配れよ。
自分の周囲で起こってる醜い事件に目を向けろってんだ。
だから俺死んだんだよ。
あームカつく。



「由香里さんが一体なにをしたというんだ!」
「人殺し」
「あ、あたしそんなこと……!」



直接はしてねーけど間接的にはしたって。
だって俺が死んだ原因こいつだし。



「俺逃げるわ。じゃな、仙蔵!文次郎!」
「おい!貴様っ!」
「はっはっはー、さらばだー!」



つか、もーあれだな。
こいつらの目ぇ醒まさせるためと俺のために藤本由香里殺そうとしたけど、もう完璧無理っぽいなー。
仙蔵たちに敵認定されちまったし、俺には見張りが付くだろーし。

友情なんて儚いもんだよなぁ。
女ひとりかいるだけでこれだよ。
恐るべし、藤本由香里。

どうするよ俺、どうするよ。
なんかこれ、あれみたいだ。ほらあのCMであったじゃん。
目の前に選択が書いてある人生札のやつ。
あれっぽい。

うーん、選択肢的にはあれだな、とりあえず4つ。


1、再チャレンジ
2、諦めて土下座して謝る
3、こんな世界とはもうおさらば
4、なーんちゃって、嘘だぴょーん


2はないわー。
俺にはぜってー無理。

1が一番いいんだけど、かなり難しそうだなぁ。

となると残りは3か4。
でもなー4選んだとしても怒られそうだよね。
悪ふざけにもほどがあるぞ!って文次郎が怒鳴り付けてきそうだし。
許してもらえるかな?

んじゃあこれも却下だ。
じゃあやっぱり3?
自殺か?自殺逝っちゃいます?

親より先に死ぬといかんって言うけど、俺の親いねーから関係ないし。
委員会が心配だけど、タケもんは優秀だからなんとかなるかなー?

あとは、あいつら。
俺が死んだから悲しんでくれるか?
微妙な気がするなぁ。
敵認定受けてるし。
なんか親の仇でも見るような目で俺のこと見てくるんだぜ?
やってらんないよなー。もうすっかり他人だ。

て、待てよ?
つーことはさ、俺が死んでも誰も困らないし、悲しまないわけだ。
え、じゃあ俺ここにいる意味なし?だよな。
あーじゃあ死のう。うん死のう。今すぐ死のう。


どうやって死のう?
切腹は無理だ。
俺痛いの嫌いだし。

首吊りもやだな。
吐瀉物汚物まみれで死ぬなんて真っ平ごめんだ。

飛び降りも無理だな。
無駄に鍛えられたおかげで反射的に着地しちまう。
意味ねーって。

首斬りも駄目かな。
血飛沫舞ったら後片付けが大変そうだ。
意外と血って落ちにくいんだよなー。

じゃああれだ、手首切るやつ。
桶に水張って浸けておけば、一刻以内には死ねそうかな?
後片付けも楽そうだし。

じゃ、そうしよう。



「おーい、留三郎。桶いっこ借りてくぞー」
「………」



返事がない、ただの屍のようだ。
最後の会話だってのに、なんだかなー。
無視ですか。そうですか。

あ、後で後悔したって知らないんだからね!

ツンデレぶっても突っ込みなしが一番辛いよ。
俺ボケなのに誰も突っ込んでくれなくなっちまった。

あ、でも竹八門なら突っ込んでくれるよな!
よし、じゃあ最期だし八左に突っ込んでもらってから死のう!



「八谷竹左ヱ門!」
「竹谷八左ヱ門です!」
「よし、満足だ」
「なにが!?」
「うん。じゃあな、八左ヱ門。後はよろしく」
先輩?なにを……」



走り去る俺、かぁっこいー!
部屋を閉め切れば、誰も入ってこないでしょ。
ようし、これで心置きなく死ねそうだな!


サクリ。


後は水に浸けて、寝よっと。じゃあおやすみ!






こうして俺は死にましたとさ、ちゃんちゃん。













結果、全滅