「おや君また来たの。来るのが早過ぎじゃあないかい?」
だってしょうがないじゃないですか。
あの女が、ねぇ。
「ああそうか、また彼女にやられんだね。せっかくの第二の人生だっていうのに」
そーですよねー。
どんだけ俺の邪魔すりゃ気が済むんだかって感じですよ。
藤本由香里マジうぜぇ。
「可哀相に。でも、もう転生させてあげることはできないんだよ。ごめんねー」
ああ、そんなのいいです。遠慮します。お断りです。
また藤本由香里に邪魔されたら堪ったもんじゃねえし。
「でも、彼女に復讐したくないの?」
そりゃまあ、できることならしたいですけどね。
死んじまったらどうしようもないでしょう。
「うん、だから提案!どう?精神だけあっちに行ってみない?」
幽霊になって祟り殺せと?
「違うよー。君のお友達にやってもらうんだよ」
……どうやって?
「夢枕に立って、いろいろと吹き込めばいいのさ!」
そんな簡単にいきますかねぇ。
死んだ人間が夢に出たなんてオカルト地味たこと。
「一人二人ならともかく、お友達全員ともなれば信じるしかないでしょ」
うーん、じゃあやってみようかなー?
あ、あいつらんとこだけじゃなくて、生物委員の後輩達んとこもいいですか?
「いいよいいよ!特別大サービス!」
おお、神様太っ腹!
かーっこいー!ひゅーひゅー。
「ふふふ。それじゃあ何を言うか、考えておいてね?ちなみに会話は出来ないからー」
なんですと!
会話できないのかよこのやろー。
俺が一方的に独り言呟くだけじゃん。
まあいっか。
んふふふー、思わぬところで復讐のチャンスが回ってきたな。ラッキー。
てか俺、意外と執念深かったんだなぁ。
やっぱり二回も人生だいなしにされちゃ、それが普通だよな。
他に俺と同じ経験した奴知らせねえから、普通がなんなのか知らないけどさぁ。うん、まあ普通だ。
あいつらちゃんと信じてくれるかなー?
絶対的に盲目的に信仰しちゃってんだもん。
もうあれ一種の呪いじゃね?超こえーよ。明らかに態度おかしいし。
でも藤本由香里が現れるまでは普通の、気の良い奴らだったもんなー。
そりゃあちょっとばかし個性的ではあったけどさー、あのくらい許容範囲内だったし?うん。
悪いのはあいつらじゃない、藤本由香里だ。
復讐対象は、藤本由香里。
そだ、あいつらに何て言えばいいかな?
どんな内容だったら藤本由香里をさっくり殺してくれるかなー?
信じてる相手殺すように仕向けるってことは、相当いろんなこと言わなきゃなんねぇしなぁ。
あ、でもあいつら意外と単純だから、結構あっさり信じるかもしんねぇな。
ううん、悩む。
こーいうときはあれだな、自分に置き換えて考えるのが一番なんだ。
むむむ、ぽくぽくぽくちーん。
よっしゃ、考えついた!
藤本由香里はサイギョウガサの間諜だったってことにしよう!
今までのは演技で、学園を探るためにやってきたくのいちだったのだー!
よし、この設定で決まり!
神様ー、俺準備おっけーだよー。いつでもやっちゃって!
「はーい。じゃあいってらっしゃーい!」
ばっちこーい!
、気張っていくぜ!
それじゃあ―――復讐、スタート。
明後日に決行との通達