俺が夢枕に立った後、みんなが俺のお願いを実行してくれるか見届けるためにずっと浮遊霊やってた。
ふよふよ〜って漂うのって結構楽しいんだぜ?
俺の可愛い後輩、三治朗は俺のこと見つけてくれたし!
先輩、お久しぶりです!」ってぜんぜん動じてねぇのよ、あの子。
きっと将来は大物になるな!



「ねぇくん」

なんです?神様。

「君、本当にあれでよかったのかい?君の仲間後悔しまくりだよ?」

ああ、いいんですよー。
とりあえず藤本由香里を殺したいっていう当初の目的は達成できたわけですし。
ぶっちゃけ、後のことがどうなろうと知ったことじゃありません。

「あはは、なかなかの悪魔だね!」

いやぁ照れますねー。



本当のところ、あいつらがあそこまで後悔してくれるだなんて微塵も思ってなかった。
ちょっと反省して、たまーに俺のことを思い出してくれればいいかなーって思ってたのに、まさかあそこまで思い詰めるとはなぁ。
特に文次郎なんか自分のブツを切り落とすってんだぜ?
ちょっと正気ですか潮江さん。
まぁ俺のじゃないからどうでもいいけどさー。



「あ、くん」

またまたなんです?神様。

「これから例の彼女判決するんだけど、どうして欲しい?」

どうして欲しいって……そんなこと俺が決めちゃってもいいんですかね?
俺、徳も何も積んでないただの魂ですよ?

「それがさー、彼女ってすごく特殊な例なんだよね。決めるのに困っちゃってさ」

特殊?

「そう。彼女自身は特に目立った悪行を働いてないんだけど、彼女のせいで不幸になった人間は意外と多くいるんだよ」

その一例が俺ですね。
つーか俺以外にもいたんだ、藤本由香里の被害者。
てっきり俺だけだと思ってたのに。

「まあ、一番の被害者は君だろうけどね。それで、どうする?彼女の逝き先」

極楽に逝くか地獄に逝くか?
そーですねー、俺的にはどっちでもいいですよ。極楽でも地獄でも。

「あれ意外。ってきり地獄を選ぶかと思ったのに」

いや、もうどうでもいいっていうか……。
あいつらが藤本由香里を殺すときに最大限の苦痛をもって殺してくれたみたいなんで、満足してるんですよー。十分十分。
つか、ぶっちゃけもう関わりたくないんで。
そうだ、あみだくじでもして決めたらどうです?

「それがいいね!よし、そうしよう」

決まったようでなによりです。
あ、それよりも神様ー、俺ってどうなるの?
極楽ってことはないだろうし、やっぱり地獄逝き?

「そうだね、どうしよっか」

お好きにどうぞ。

「じゃあくん、君ここで就職ね!」

はい?
え、就職って何ですか。まさかここで働けと?

「いやー、人手が足りなくて困ってたんだよね!ありがとうくん、助かるよ!」

拒否権はないんですね、分かります。
まあ、もう未練もないしいっかー。













聖母の御許で死神に抱かれる