運が良いのか悪いのか、竹左ヱ門に発見された俺は一命を取り留めたらしい。
なんてこった!と嘆くべきなのか?これって。
考え所だなぁ。



「先輩、なんでっ自殺なんか……!」



おーおー、涙目で詰め寄ってくんなって。
つか鼻水垂れてんぞー?
せっかくのイケメンが台なしだよおい。

自殺なんかって言うけどさぁ、俺が真剣に悩んだ結果よ?多分だけど。
藤本由香里がいてさ、仲間に絶交されてさ。もういいかなーって思わず考えるだろ?
そういう訳でさ、つまりな。



「もうさ、俺は生きていけねぇんだよ、八谷ヱ門。それにみんな、俺なんかいなくてもいいみたいだしさ」



ほんと、そうなんだよ。
だってあいつら、多分だけど俺がこうやって自殺未遂したこと気付いてねーべ?
ほら、必要ないだろ?
きっと今だって藤本由香里に夢中なんだよ。

あームカつくなぁ。
やっぱりもう一回チャレンジしてこよーかなぁ。
藤本由香里殺害計画。

……それよりもハチえもんよ、あんまり泣くなよ。
なんか俺がいじめてるみたいじゃないか。



「そんなこと!……そんなこと、ありません。オレは、オレ、は先輩が……先輩がっ好きです!」
「あ、ありがとなぁ、竹もん。嘘でもうれしいよ」
「嘘なんかじゃ……!」



いやいや、ほんと嬉しいって。
こんな俺でも一応慕われてたんだなぁ。
そう思えば今まで生きてきた甲斐があるってもんだよ。
しかもタケえもんみたいな男前になぁ。
俺も成長したってことか?
ふはは、顔がにやけてくるぜ。

ってなにお前近付いてきてんの。
顔近いよー?
あ、意外と睫毛長いかも。
ちくしょー、イケメンめ!


ふに。


―――ん?ちゅーされた?
あれ、ちょっと待て。
なにお前顔赤くしてんの。
ちょっと可愛い。
つか、そうじゃなくて。



「……なんだハチ、お前そういう意味で俺んこと好きだったのか」



明らかに友情のライクじゃなくてラブだよなーこれ。
俺そういう目で見られたのは初めてだよ。
え、なに俺も対象になるんだ。
まあ別に偏見は持ってないからいいけどさぁ。
まさか自分が当事者になるとは思ってなかったわ。



「いけませんか!?オレは、先輩が好きなんです!先輩が死んだら、オレも死にますからね!」
「そりゃあまた思い切ったなぁ。……そんなこと言われたらオレ死ねないじゃん」



そこまで猛烈に愛されてるとは思わなかったよ。
やっべ、なんか嬉しいかもしんない。
俺もとうとうホモの仲間入りか?
でも竹谷ヱ門相手ならいいかもなぁ。
必死なこいつ、超可愛い。



「だって、オレはっ!」
「うんうん、大丈夫だ。俺もお前のこと好きだし」



うん、好きだ。
今好きになった。
こいつ相手なら抱かれてもいいかもしんねぇ。
抱くのはちょっと難しそうだけど。
だってこいつのが体格いいし。
……男として負けたよ。

でも、うん。



「そうだな、お前さえいてくれれば後はどーでもいいか。藤本由香里のことも、仙蔵たちのことも、もうどーでもいいや」
「だから竹左ヱ門、お前ずーっと俺の傍にいろよ。離れんなよ。浮気したら死ぬかんな」



意外と俺、独占欲強いぞ。前の時もそれが原因でフラれたからなー。
は束縛し過ぎ!もう堪えられない!」だって。
俺的にはそこまで縛ってるつもりはなかったんだけどなぁ。

まあでも、俺と付き合ってくにはそれ相応の覚悟が必要だぞー?
大丈夫かぁ?ハチもん。



「心配しなくても大丈夫です!オレは、死ぬまで先輩を守りますから!」



……やっべ、ドキドキしてきた。
俺キュン死にするかも。













約束は守られた