は、その日浮かれまくっていた。



「夏だ!海だ!水練だぁっ!!」
「……テンション高いな、お前」



呆れたように呟くのは食満留三郎。その眼前には青い海と白い雲、そして< 褌一丁の学友たちがはしゃぎ回っていた。かくいうも一応は褌一丁で、拳 を突き上げよくわからないことに闘志を燃やしている。



「何を馬鹿なことを言っているんだ留三郎!海だぞ?水練だぞ?泳ぐんだ ぞ?これがテンションを上げずにいられるか!だってよ、水練だぜ?つま りは褌一丁!他には何も身につけないときた。ふへへへ、合法的に組全員 の生足を拝めるんだ!しかも水が滴るというオプション付きで!嬉しくて 嬉しくて、俺昨日なかなか眠れなかったよー」
「遠足前夜の小学生か。お前は」
「ノンノン、時代錯誤なことを言っちゃあいけないよ?留三郎。それより も早くその袴を脱ぎ捨てるんだ!いつまでも暑苦しく上下しっかり着てる なよ。文次郎みたいに汗くさくなっちまうぞ?伊作なんかもう褌一丁で体 操までして準備万端じゃないか。他のみんなも着替えているというのに。 焦らしプレイでもしたいのか?そんなのはいいから、お前も見習って早い ところ褌一丁になりなさい。そして足を!足を出すんだ!はぁはぁ」



そうまくし立てるの視線は留三郎の足を凝視しまくっている。瞬き をしているのかどうか怪しいほどに真剣だ。普通ならドン引きの行動だが 、留三郎は少しも動じない。がいくら足フェチの変態だったとして も6年も付き合っていれば慣れるものらしい。用具委員長のデカい器に乾☆杯。 留三郎は焦ることなく冷静に言葉を返す。



「鼻息を荒くすんな。それと話をするときはこっちを向け。足ばっか見て んじゃねぇよ」
「おや留三郎嫉妬かい?だめだよ、男の嫉妬は醜いのだから。心配しなく ともお前の足も十二分に見てあげるよ!俺はお前の足も大好きだからな! この意外と焼けてない白い肌。しなやかな筋肉。思わずほお擦りしたくな るこの張り。散らばる傷痕が美しい!これぞまさに芸術というものだよ、 なあ伊作!」
「あはは、そんなこと誰も聞いてないよ」
「人の足をよくもまぁそこまで褒められるな、お前」
「何を当然なことを言っているんだ留三郎は!足だぞ?この見事な曲線美 。筋肉の付き方。太くとも細くとも構わない。そこに足があるのなら、愛 でるのが人の性というものだよ!」
「人の、じゃなくての性ね」
「人類をお前と同じにするんじゃねぇ」
「まぁまぁまぁ、そんなことはいいから留三郎早く脱げって。早くしない と先生から集合がかかるぞ?点呼報告するのは俺だかんな!もし怒られた ら留三郎のせいだぞ?ってわけで慰謝料の代わりに足触らせて。むしろ舐 めていい?」
「気持ち悪いわ、ボケ」
「なぁ伊作、留三郎の奴だんだん口悪くなってないか?昔はあんなにも可 愛かったっていうのによー」
「原因の6割はだね」
「そうだな」
「6割!と、いうことは留三郎の60パーセントは俺で構成されていると いうわけだな!」
「ごめん、嘘。気持ちの悪い」
「……なぁ留三郎、前言撤回するわ。口が悪くなったのは伊作だ」
「だな」



日差しが照り付け暑いはずなのになぜか身震いする。暑さとは関係 のない汗が背中を伝った。伊作……お前、黒くね?



「と、とにかくっ!留三郎早く脱ぐのだ!ほら、先生から点呼がかかって しまったではないか。急げ!おおーい、みんなしゅうごーう!上衣だけ羽 織って並べよー!絶対に袴履くなよー!はい、しゅーごーうっ!」
「気味の悪い光景を作り出そうとするなよ」
「ふへへへへ」



の言うことを面白がって実行し、上衣だけきちっと来た少年たちが 整列している光景を見た兵庫軍の海賊たちがドン引きしたのは言うまでも ない。













眩し過ぎて直視できません